同志社大学英語英文学研究 = Doshisha studies in English (75), I-VI, 2003-03-31
同志社大学人文学会

「書く技法,生きる条件―岩山太次郎先生のご退職に際して」林以知郎

”「人生の幻影」に小説言語を通して形を取らせる営みを小説家の技法であるとともに倫理的誠実さであるとしたジェイムズの文学姿勢は,言ってみれば「書く術」がすなわち「生きる術」へと転じていく作家の生き様の表明であったろう。書く行為と人間の生きる条件への倫理的自覚が一体の課題となっていくアメリカ文学の動きとして岩山先生が惹かれていかれたのは,60年代頃から取り上げていかれたユダヤ系作家の作品群をめぐる論考である。”