『American Independents: Eighteen Color Photographers』とその文脈

 1987年にAbbeville Pressから刊行された写真集『American Independents: Eighteen Color Photographers』は、批評家サリー・オークレア(Sally Eauclaire)が編集・執筆を手がけた一冊である。この本は、1970年代初頭に興隆したアメリカの「新色写真(New Color Photography)」運動の第3弾として位置づけられ、伝統的なモノクロ写真の枠組みから脱却したカラーフォトグラフィーの豊かな多様性を探求している。オークレアは前作『The New Color Photography』(1981年)と『New Color/New Work』(1984年)に続く本書で、現代アメリカの風景、社会、日常を独自の視点で捉える18人の独立系カラーフォトグラファーを紹介し、アメリカを「単一のものではなく、カレイドスコープのように多面的な国」と描き出した。 オークレアの仕事は、後進の写真家や批評家に大きな影響を与えた。アンドレアス・グルスキーは学生時代に『The New Color Photography』を愛読し、大規模なカラーランドスケープの基盤を築いた。彼女の書籍は、色写真の歴史を「男性中心」から脱却させ、ジャン・グルーヴァーやオリビア・パーカーといった女性写真家、さらにはマイノリティの視点を積極的に取り上げた。その後の展覧会や書籍(ミッチ・エプスタインのポートフォリオ分析など)は、環境・社会批評の潮流を形成している。Everson MuseumやAbbeville Pressとのコラボレーションにより色写真の市場化が進み、Carnegie Museum of Artでの寄稿は1980~90年代の写真教育に深く根付いた。 こうした文脈の背景には、エドワード・ウェストン、アンセル・アダムス、ウィリアム・エッグルストンというアメリカ写真史の「ストレートフォト」系譜がある。直接的な師弟関係はないものの、時代を隔てた「世代間継承」としてつながっている。ウェストンとアダムスは1930年代の西海岸でモノクロ純粋写真の黄金時代を築き、エッグルストンは1970年代の南部でその精神をカラーへと移植した存在であるーー