CARIBOU - Swim (2010)


(1)- a
(着実に支持を拡大し続けた)カリブーの「サイケデリックエレクトロニカ」期の頂点が、2009年9月のニューヨークでのATPだった。
「何か特別なことをやって欲しい」とフレーミング・リップスに乞われたダン・スナイスは、なんと15人編成の大所帯バンドでこのインディー音楽の祭典に参加。

サン・ラ・アーケストラの元バンドリーダー: マーシャル・アレンを迎えた5人のホーン・セクション、
フォー・テットことキエラン・ヘブデン、
ジュニア・ボーイズのジェレミー・グリーンスパン
コーシック、
ボーン・ラフィアンズのルーク・ラロンドと、

ファン騒然の豪華なメンバーを取りそろえた。

さらに、過去にカリブーと共演したドラマー4名、
ゴング、
シンセ、
木管セクションを加えた全15名のライヴは、カリブー史上最高のパフォーマンスと大絶賛された。

(2)
例えば、カナダの「マーキュリー・ブライズ」に当たる、「ポラリス・ミュージック・プライズ」。
2008年の同賞は、かのブラック・マウンテンやホーリー・ファックを抑えて、カリブーが受賞した。
こうした賞賛を経て、ダンは宅録だったそれまでのプロダクションを次のレベルに引き上げることを決心するに至った。

(3)
本作の「Jamelia」にはボーン・ラフィアンズのルーク・ラロンドがヴォーカルで参加。
ミキシングには、ジュリアン・コープの「ブラック・シープ」バンドで知られるデヴィッド・レンチが担当(彼は暗黒メタル16〜18世紀風の曲を作るソロ・アーティストとしても知られた存在だ)。
レコーディングは、ウェールズのブレン・ダーウェン・スタジオと、ジュリア・ボーイズの出身地、オンタリオ州ハミルトンにあるジェレミー・グリーンスパンのピスタチオ・スタジオで行われた。
そうして、音響ファンを唸らせる深みとパノラミックなサウンドスケープを実現させた。
カリブーのこれまでの作品『Andorra』や『Up in Flames』の、どちらかと言えば粗雑なサウンドとは180度異なる音作りに、これまでのファンはかなり驚かされるだろう。

(4)
「Found Out」のジョン・カーペンターの映画のように恐ろしいダンのキラー・ギターも忘れてはならないポイントだ。

(5)
ドロシー・アシュビーのアフロ・ジャズ・ハープを思わせる幻想的なグルーヴがたまらない。

(1)- b
カリブーとしてミュージシャン的に贅の限りをつくしたとも言えるATPで、
ダンはトロント出身のフリー・ジャズ・プレイヤー:
コリン・フィッシャー(テナーサックス)、
カイル・ブレンダーズ(ベースクラリネット、ソプラノサックス)、
ロブ・ピーロネン(フルート)、
スティーヴ・ウォード(トロンボーン) に出会う。

ATP終了後、すぐさまトロントに向かい、彼らのパートをレコーディングしたという。