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「夢というものは、思わぬ解決策をあたえてくれる。これはユングの夢学説にもある。夢は、醒めている間は意識にあらわれないさまざまな材料を組み立て、未来への適応策として暗示するというのだ。つまり本来の夢占いと同じで、予言的な性格を認めている。まとまったことを喋れないのなら、滅茶苦茶を喋ればいいのである。つまりモダン講演である。こういう具合にやるのだ。「ひとくちに声量のある、なしを申しますが、コンクリートの声量などは平熱でおさまりますし、無駄飯食いのぼくなどは砂糖大根の種からとればいいのです。なぜかと申しますと昔の武士はテレビを見なかった。グルタミン酸の誘導体だったからです。そこでたくさんの家具を買いこみますと女郎衆が困ります。女郎衆が困れば」」筒井康隆「講演」『狂気の沙汰も金次第』(1973)から

 

 

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